・太陽光パネルの電圧について
・絶縁抵抗測定方法について
・絶縁不良とはどんな場合か
・測定可能な機器
太陽光パネルの電圧に関する考え方
◇絶縁抵抗測定を行う前にパネルの回路電圧を知っておく必要があります。太陽光パネルは基本的に複数枚を直列で接続し運用していることが一般的です。
パネル1枚の電圧×直列枚数
◇参考例
・パネル電圧:49.05v
・直列枚数:18直列
この回路構成のストリング電圧は49.05×18直列=882.9vになります。ストリングの電圧はPCSごとに変更されている可能性があるため単線結線図や図面などで確認しておいた方がよいです。
絶縁抵抗の測定方法
◇太陽光パネルの絶縁抵抗測定は通常の回路と違います。太陽光パネルは日光があるところでは発電しているため回路に電圧が発生します。測定手順(例:HIOKI使用)
◇測定レンジをPVモードに切り替え機器本体の残電池をチェックする。
アースサイドと短絡させた状態で絶縁が0MΩになることを確認。※0MΩにならない場合測定ができない可能性があるので接続部分の確認をして下さい。
アースに接続した後、回路の測定を開始※PVモード内でも回路電圧を500vまたは1000vで切り替える必要があります。測定回路の電圧を上回る電圧レンジでの測定を行ってください。
参考例
49.05×18直列=882.9vだった場合レンジはPVモードの1000vにて測定
判定基準とは
◇絶縁抵抗測定の判定基準は定められています。
電気設備に関する技術基準を定める省令第58条より☟
使用電圧 | 判断基準 | ||
---|---|---|---|
300v以下 | 対地電圧150v以下 対地電圧150v超過 | 0.1MΩ 0.2MΩ | |
300v超過 | 0.4MΩ |
あくまでも最低基準値であり竣工時では100MΩ以上が理想です。
■絶縁不良原因は?
◇絶縁不良の原因として以下の要因が考えられます。
・ケーブルの劣化
・ケーブルの損傷
・太陽電池モジュールの損傷
太陽光パネルは屋外に設置されるため直射日光、塩害、野生動物などにより損傷し絶縁が低下する可能性があります。人的要因もあり施工不良や草刈りなどのメンテナンス時に切断してしまうなど。
測定機器
◇太陽光パネルを日中に測定する場合は専用の測定器が必要になります。3機種メジャーな機種をご紹介します。
・日置電機株式会社
一番使用されているのはHIOKIの絶縁抵抗計になるかと思います。サイズも大きくなく一番使用しやすいです。通常の回路も測定できます。
・共立電気計器株式会社
HIOKIと同じく検査機器メーカーになります。接地抵抗値もこの一台で測定できるなどマルチの測定機器になります。複数台そろえるのが大変という方には共立が選択肢になるのではないでしょうか。
・マルチ計測器株式会社
大手2社以外で一番メジャーです。サイズ感もHIOKIに似ています。
■その他の機器(1000V以上回路)
◇上記3機種は測定回路が1000v未満の回路に限定されます。回路電圧が1000vを超える場合は使用できません。国内メーカーでは数少ないですが1000vを超える回路を測定できる機器も販売されています。
・日置電機株式会社
太陽光発電設備のPVは最大2000vまで測定可能、国内メーカーでは1000V以上測定できる数少ない機器。
これらの機器は日中に測定できますが、太陽光パネルが発電している状態で測定します。P、Nが短絡してしまうと火災の原因にもなります。測定時は十分に注意し保護具を着用して下さい。
当事務所でも太陽光発電所の検査を行っております。お気軽にお問い合わせください。
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