使用前自己確認検査の一つ 常規対地電圧試験の方法とは?

この記事でわかること

・電技解釈第16条第6項第5号について
・常規対地電圧試験とは?
・電路の耐圧が必要なのかについて

電技解釈第16条第6項第5号について


◇太陽光発電設備で使用するPCSに関しては電技解釈で耐圧試験を実施することになっています。

電技解釈第16条第6項第5号

電力変換装置が、1,500V以下の直流電路に施設されるものである場合は、電気学会電気規格調査会標準規格JEC-2470(2005)「分散形電源系統連系用電力変換装置」の「6.2 一般試験」の交流耐電圧試験により絶縁耐力を有していることを確認したものであって、常規対地電圧を電路と大地との間に連続して10分間加えて確認したときにこれに耐えること。


また使用前自己確認の記載例には下記のような文面が書かれています。


◇別紙参考事例☟

逆変換装置については、電技解釈第16条第6項第5号に基づく絶縁耐力試験を実施したことを工場試験結果により確認した上で、常規対地電圧を印加する現地試験を実施した。

関東東北産業保安監督部HPより引用 様式の記載例

■常規対地電圧試験につて


◇工場試験結果によりJEC-2470(2005)「分散形電源系統連系用電力変換装置」の「6.2 一般試験」の耐圧試験が実施されているのが確認できれば現地では常規対地電圧試験を実施する。

常規対地電圧とは?

通常の運転状態で主回路の電路と大地との間に加わる電圧をいう。

通常の運転状態なので、PCSが発電している状態が望ましいです。

まとめ

・工場試験結果の確認
・現地では常規対地電圧試験の実施

■PCSからMCCB間の耐圧について


◇問い合わせが多く、監督部&資料によって内容が整理できましたので記載します。

問題になっている電技解釈 
 電技解釈16条第6項第1号イ

開閉器、遮断器、電力用コンデンサ、誘導電圧調整器、計器用変成器その他の器具(第1項から前項までに規定するもの及び使用電圧が低圧の電気使用機械器具(第142条第九号に規定するものをいう。)を除く。以下この項において「器具等」という。)の電路並びに発電所、蓄電所又は変電所、開閉所若しくはこれらに準ずる場所に施設する機械器具の接続線及び母線(電路を構成するものに限る。)は、次の各号のいずれかに適合
する絶縁性能を有すること。

一 次に適合するものであること。
イ 使用電圧が低圧の電路においては、16-4表に規定する試験電圧を電路と大地との間(多心ケーブルにあっては、心線相互間及び心線と大地との間)に連続して10分間加えたとき、これに耐える性能を有すること。

電気設備の技術基準の解釈より引用

これによりパワコンからMCCB間の耐圧試験を行う必要があるのでは?と問い合わせが多くありました。

◇PCSからMCCB間とは

◇産業保安監督部の見解

見解

この絶縁性能の確認は電技14条による確認でよい。耐圧はする必要はなし。※あくまでも私が聞いた時点での意見になります。

◇その他資料

少し資料が古いですが平成30年10月の経済産業省 産業保安グループ電力安全課より「電気設備の技術基準の解釈」の一部改正についてが出されていました。その中の一文を抜粋します。

○ 近年増加している太陽電池発電設備や風力発電設備等の分散型電源については、それらを系統に接続するにあたり、交流・直流を変換する電力変換装置が必要であるが、このうち太陽電池発電設備に接続する逆変換装置(電力変換装置の一種)の絶縁性能については、電技解釈第16 条第6項第5号に定めがある。

○ 具体的には、電気学会電気規格調査会標準規格JEC-2470(2005)「分散形電源系統連系用電力変換置」(以下「JEC-2470」という。)で定める試験方法により絶縁耐力を有していることを確認した後、常規対地電圧(通常の運転状態で電路と大地との間に加わる電圧)を電路と大地との間に連続して10 分間加えて確認したときに、これに耐える性能を有すること、と規定されてる。

○ 他方、太陽電池発電設備以外の分散型電源に接続する電力変換装置であって、使用電圧が低圧のものは、電技解釈第16 条第6項第1号イや同条第6項第3号等が適用され、電路の種類に応じて、以下の表のとおり、最大使用電圧の1 倍~1.5倍の試験電圧を電路と大地との間に連続して10 分間加えたときに、これに耐える性能を有すること、が求められてり、現地での絶縁耐力試験について、太陽電池発電設備に接続する逆変換装置に比べて、より厳しい仕様が例示されている。

平成30年「電気設備の技術基準の解釈」の一部改正についてより引用

まとめ

太陽光発電設備以外の分散型電源であり使用電圧が低圧のものは電技解釈第16 条第6項第1号イが適用される。※つまり太陽光発電設備以外が対象となる。その他の使用前の試験の一部負荷試験に関しても解説しています。参考にしていただければ幸いです。


当事務所では使用前に関する試験業務も行っております。ご相談、お見積りお待ちしております。

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長野電気管理事務所

電気設備の点検を得意とし、竣工検査、使用前自己確認、太陽光O&M、保安管理業務など、SNSも随時更新中です。

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