使用前自己確認検査の一つ 常規対地電圧試験の方法とは?

使用前自己確認検査の内容の一つ
常規対地電圧試験について解説していきます。

この記事でわかる事

・電技解釈第16条第6項第5号について
・常規対地電圧試験とは?
・電路の耐圧が必要なのか?
 について

目次

1、電技解釈第16条第6項第5号について


太陽光発電設備で使用するPCSに関しては
電技解釈で耐圧試験を実施することに
なっています。

電技解釈第16条第6項第5号

電力変換装置が、1,500V以下の直流電路
に施設されるものである場合は、
電気学会電気規格調査会標準規格
JEC-2470(2005)「分散形電源系統連系
用電力変換装置」の「6.2 一般試験」の
交流耐電圧試験により絶縁耐力
を有していることを確認したものであって、
常規対地電圧を電路と大地との間に
連続して10分間加えて確認したときに
これに耐えること。

また使用前自己確認の記載例には
下記のような文面が書かれています。

逆変換装置については、
電技解釈第16条第6項第5号
に基づく絶縁耐力試験を実施したこと
を工場試験結果により確認した上で、
常規対地電圧を印加する現地試験を
実施した。

関東東北産業保安監督部HPより引用 様式の記載例

2、常規対地電圧試験につて

工場試験結果によりJEC-2470(2005)
「分散形電源系統連系用電力変換装置」の
「6.2 一般試験」の耐圧試験が実施されているの
が確認できれば現地では常規対地電圧試験を
実施する。

常規対地電圧とは、
通常の運転状態で主回路の電路
と大地との間に加わる電圧をいう。

通常の運転状態なので、PCSが
発電している状態が望ましいです。

まとめ
・工場試験結果の確認
・現地では常規対地電圧試験の実施

3、PCSからMCCB間の耐圧について

問い合わせが多く、監督部&資料によって
内容が整理できましたので記載します。

問題になっている電技解釈 
 電技解釈16条第6項第1号イ

開閉器、遮断器、電力用コンデンサ、
誘導電圧調整器、計器用変成器
その他の器具
(第1項から前項までに規定するもの
及び使用電圧が低圧の電気使用機械器
具(第142条第九号に規定するものをい
う。)を除く。

以下この項において「器具等」とい
う。)の電路並びに発電所、蓄電所又
は変電所、開閉所若しくはこれらに
準ずる場所に施設する機械器具の接続
線及び母線(電路を構成するものに限
る。)は、次の各号のいずれかに適合
する絶縁性能を有すること。

一 次に適合するものであること。
イ 使用電圧が低圧の電路においては、
16-4表に規定する試験電圧を電路と
大地との間(多心ケーブルにあっては、
心線相互間及び心線と大地との間)
に連続して10分間加えたとき、
これに耐える性能を有すること。

電気設備の技術基準の解釈より引用

これによりパワコンからMCCB間の耐圧試験
を行う必要があるのでは?
と問い合わせが多くありました。

PCSからMCCB間とは

・産業保安監督部の見解

この絶縁性能の確認は
電技14条による確認でよい。

耐圧はする必要はなし。

※あくまでも私が聞いた時点での意見になります。

・その他資料

少し資料が古いですが平成30年10月の
経済産業省 産業保安グループ電力安全課より

「電気設備の技術基準の解釈」の一部改正について

が出されていました。その中の一文を抜粋
します。

○ 近年増加している太陽電池発電設備
や風力発電設備等の分散型電源につい
ては、それらを系統に接続するに
あたり、交流・直流を変換する
電力変換装置が必要であるが、
このうち太陽電池発電設備に接続する
逆変換装置(電力変換装置の一種)
の絶縁性能については、
電技解釈第16 条第6項第5号
に定めがある。

○ 具体的には、
電気学会電気規格調査会標準規格
JEC-2470(2005)
「分散形電源系統連系用電力変換置」
(以下「JEC-2470」という。)
で定める試験方法により
絶縁耐力を有していることを確認
した後、常規対地電圧
通常の運転状態で電路と大地との間
に加わる電圧
を電路と大地との間に連続して10 分間
加えて確認したときに、これに耐える
性能を有すること、と規定されてる。

○ 他方、太陽電池発電設備以外の
分散型電源に接続する電力変換装置
であって、使用電圧が低圧のものは、
電技解釈第16 条第6項第1号イ
同条第6項第3号等が適用され、
電路の種類に応じて、以下の表の
とおり、
最大使用電圧の1 倍~1.5倍の試験電圧
を電路と大地との間に連続して10 分間
加えたときに、これに耐える
性能を有すること、が求められてり、
現地での絶縁耐力試験について、
太陽電池発電設備に接続する
逆変換装置に比べて、より厳しい仕様
が例示されている。

平成30年「電気設備の技術基準の解釈」の一部改正についてより引用

まとめ

太陽光発電設備以外の分散型電源であり
使用電圧が低圧のものは
電技解釈第16 条第6項第1号イ
が適用される。

※つまり太陽光発電設備以外が対象
となる。

その他の使用前の試験の一部負荷試験に関して
も解説しています。
参考にしていただければ幸いです。

当事務所では使用前に
関する試験業務も行っております。

ご相談、お見積りお待ちしております。

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この記事を書いた人

太陽光業界に従事しており、
得意分野は太陽光関係の点検になります。

使用前自己確認、絶縁抵抗、接地抵抗、耐圧試験
外観検査、保護継電器試験、温度測定....ectなど
電気設備に関する情報発信も行い、私自身も点検
で現場に入っております。

今後もいろいろな設備を点検すべく
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