高圧受変電設備の充電電流について

この記事でわかる事

・耐圧試験の方法
・トランスの静電容量
・ケーブルの静電容量
・対策について

目次

耐圧の試験方法


◇使用電圧に応じた耐圧試験が必要です。
 電圧によって試験電圧が変わります。

電路の種類試験電圧
最大使用電圧が7000V以下の電路交流の電路最大使用電圧の1.5倍の交流電圧
直流の電路最大使用電圧の1.5倍の直流電圧又は
1倍の交流電圧
最大使用電圧が
7,000Vを超え、60,000V以下の電路
最大使用電圧が15,000V以下の
中性点接地式電路
最大使用電圧の0.92倍
上記以外最大使用電圧の1.25倍の電圧

高圧ケーブルに関しては交流の耐圧だけでなく
 直流の耐圧試験も認められています。

電技解釈第15条

ケーブルを使用する交流の電路においては、
試験電圧の2倍の直流電圧を電路と大地との間に
連続して10分間加えたとき、これに耐える性能を有すること。

耐圧試験に関する参考記事☟

機器の静電容量について


耐圧試験時に確認すべき事項の一つに
静電容量の確認があります。

静電容量によって対応可能な
試験機器の大きさも変わります。

各メーカーの機器ごとの容量

メーカー機器名称許容充電電流
ムサシインテックR-1115K136mA
R-1220K167mA
R-1230H250mA
R-1250H417mA

双興電機製作所
T-13K15150mA
T-13K20200mA
T-13K30300mA
T-13K50500mA

上記の許容充電電流範囲内での試験になります。
超えてしまう場合はリアクトルを追加する必要があります。

※ケーブルと機器を分けて印加するなど
 リアクトル無しでも対応できる可能性があります。

ケーブルの静電容量

◇6600V CV,CVT

補足:uF(マイクロソフトファラド)=10のマイナス6乗ファラド

・単心

公称断面積(㎟)静電容量(uF/km)
140.24
220.27
380.32
600.37
1000.45
1500.52
2000.51
2500.55
3250.61

・3心

公称断面積(㎟)静電容量(uF/km)
140.24
220.27
380.32
600.37
1000.45
1500.52
2000.51
2500.55
3250.61

CVT

公称断面積(㎟)静電容量(uF/km)
140.24
220.27
380.32
600.37
1000.45
1500.52
2000.51
2500.55
3250.61

計算例

◇条件
 ・ケーブルCVT:38㎟ 100m

  充電電流I=2πfcv
  2×π×60Hz×(0.32×10^-6×0.1km)×10350v
  =124mA

  三相一活=124mA×3心分=372mA

トランスの静電容量

◇6kV変圧器

補足:pF(ピコファラド)=10のマイナス12乗ファラド

変圧器の対地静電容量(pF)
容量(kVA)油入モールド
単相三相単相三相
1016001300240360
2018003300240360
3019003500240360
5027003900240360
7520002700360480
10027003500360480
15031004100480600
20040004500600720
30041004800600720
5006800840

計算例

◇条件
 ・トランス:100kVA 三相

  充電電流I=2πfcv
  2×π×60Hz×(3500×10^-12)×10350v
  =13.6mA

充電電流を超えてしまった場合の対策


◇対策

  • 許容充電電流が大きな試験機に変える。
  • リアクトルを入れる。
  • 分割して印加する。
  • 直流にて印加する。(ケーブル)

リアクトルとは

◇充電電流を打ち消し機器の容量が軽減することで
 試験が可能になる。

 例
 ・試験機:許容充電電流:150mA
 ・試験対象機器:充電容量250mA
 ・リアクトル:200mA

  リアクトルをいれることによって
  機器の充電電流は以下になる

  250mA-200mA=50mA

50mAまで打ち消すことによって
150mAの試験機にて耐圧が可能となる。

当事務所でも耐圧試験等を行っております。
お気軽にお問い合わせください。

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この記事を書いた人

太陽光業界に従事しており、
得意分野は太陽光関係の点検になります。

使用前自己確認、絶縁抵抗、接地抵抗、耐圧試験
外観検査、保護継電器試験、温度測定....ectなど
電気設備に関する情報発信も行い、私自身も点検
で現場に入っております。

今後もいろいろな設備を点検すべく
情報発信をしていきます。

点検に関するお問い合わせお待ち
しております。

試験内容の確認などにZOOMや
現地へのお伺いも可能です。
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