使用前自己確認の負荷遮断試験の判定基準について



この記事でわかること

・遮断器を基準とした判定基準
・パワコンを基準とした判定基準

※読んでいただく前に

判断基準に関しては、明確な基準値が
ない為、当ブログでの実績や独自の
考えによるものです。

当事務所にご依頼頂いていない試験は
一切の責任は負いかねますので
ご注意下さい。

目次

負荷遮断試験とは


以下は使用前自己確認の別紙に記載されている
試験項目の内容になります。

負荷遮断時の発電電圧について、過渡変化の状況を出⼒波形データ等により確認すること。
過渡変化する発電電圧値が、規定値以内であることを確認すること。

(1)天候により4/4負荷運転など、現地試験の実施が困難な場合で
あっても、可能な限り、⾼い負荷運転の記録を整理すること。

(2)現地試験の実施が困難であった場合には、⼯場試験記録における負荷遮断試験結果が判定基準を満⾜していることを確認すること。

(3)逆変換装置(PCS)ごとの過渡変化ではなく、現地試験では、発電所全体の過渡変化を記録すること。(総合インターロック試験及び制御電源喪失試験も同様)

判定基準
負荷遮断後、発電電圧等負荷遮断時に過渡変化するパラメーターの変動が制限値内にあり、
かつ、プラントは安全に規定の状態へ移行すること。

中国四国産業保安監督部より引用

判定基準☟

過度変化するパラメーターの変動が
 制限内にあること

プラントが安全に規定の状態に移行
 すること


・遮断器を判定基準とする場合

太陽光発電所で遮断器として一般的に
普及しているものに絞り記載します。

高圧連系の発電所なら
・PAS
・VCB
・LBS

低圧連系の発電所なら
・ELCB
・MCCB

上記の機器に絞り
機器ごとの判断基準を記載します。

PASの性能で考えてみた場合

戸上(LTR-Pシリーズ)

性能
定格7.2kV 定格耐電圧60kV 
LA内蔵の場合
(商用周波耐電圧試験はAC12kV以上を印加することはできない。)

・判断基準
SOGを責任分界点とした場合、
定格電圧として
60kVまで許容しているがLA内蔵の場合
は12kV以内までなので
判断基準として使用するなら

LAなし:電圧最大値60kV以内
LAあり:電圧最大値12kV以内

VCBの性能で考えてみた場合

三菱(VF-8D/13Dシリーズ)

性能
定格7.2kV 定格耐電圧20kV
      雷インパルス60kV

・判断基準
VCBを責任分界点とした場合、
商用定格耐電圧として
20kVまで許容している。
判断基準として使用するなら

電圧最大値20kV以内

LBSの性能で考えてみた場合

三菱(SCL-GHS1R)

性能
定格7.2kV 雷インパルス60kV
JIS4605定格耐電圧  22kV

・判断基準
LBSを責任分界点とした場合、
JIS4605定格耐電圧として
22kVまで許容している。
判断基準として使用するなら

電圧最大値22kV以内

MCCBの性能で考えてみた場合

三菱(NF125-CVF)

性能
定格絶縁電圧 600V
※定格絶縁電圧とは
耐電圧試験の試験電圧の基準となる
電圧値です。
定格使用電圧とは異なります。

・判断基準
MCCBを責任分界点とした場合、
定格絶縁電圧として
600Vまで許容している。
判断基準として使用するなら

電圧最大値600V以内

ELCBの性能で考えてみた場合

三菱(NV125-CVF)

性能
定格使用電圧 100~440V

漏電保護機能の動作範囲がある。
※例定格使用電圧200-440Vの場合
160~484V以内

・判断基準
ELCBを責任分界点とした場合、
漏電保護の動作範囲を超えて
電圧が発生してしまえば
漏電機能が動作しないので
範囲内に収まっているのが
望ましいと考えます。

※例定格使用電圧200-440Vの場合
電圧最大値484V以内

遮断器を判定基準とする場合のまとめ

各メーカーによって耐電圧があり
遮断試験時の最大電圧値が範囲内であれば
機器自体は耐えることができる。

発電所の責任分解点が事故によって
解列しても、電圧パラメーターが機器の
範囲内に収まっていればプラントが安全に停止できると判断できるのでは
ないでしょうか。

PASで負荷遮断試験を行っていた
業者が遮断時、PASが爆発した事例
あり。

波及事故につながる可能性があるので
主任技術者と試験前に確認は行うようにしましょう。

・パワコンを判定基準とする場合

パワコンの試験成績書を判断基準に
する場合に関して記載します。

例 とあるメーカーの場合

判断基準
最大電圧が150%以内 
定格電圧を超える時間が0.5秒以内
遮断から0Vになるまで1以内

この負荷遮断試験に25%~100%の
出力でクリアしたと工場試験成績書に
記載が書いてあります。
(絶対ではない為、各メーカーごとに
 確認は必須です。)

実際の現地ではこの試験結果が判断基準の
管理値になります。

各メーカーによって微妙に違う可能性があるので
各パワコンの工場試験成績書を試験前に確認して
おく必要があります。

パワコンを基準とした判定基準のまとめ

各メーカーは上記記載の試験を実施し
パワコンの性能に問題がないとして
います。

使用前自己確認の別紙にも悪天候の場合
工場試験結果により確認できるとなって
いるため
メーカーの工場試験結果を判定基準として
理由とするのは間違いではないかと思います。

最後に、

太陽発電所の使用前自己確認検査 
負荷遮断試験に関して書きました。
監督部のHPにも、昔は明確な判定基準が書いて
ありましたが現在は消されています。

今後、負荷遮断試験はなくなるのでは?
そんな検討もされていますので
随時、試験項目に関しては監督のHPを
見ておく必要がありそうです。

当事務所でも使用前に関する
試験業務も行っております。
ご相談、お問い合わせお待ちしております。



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この記事を書いた人

太陽光業界に従事しており、
得意分野は太陽光関係の点検になります。

使用前自己確認、絶縁抵抗、接地抵抗、耐圧試験
外観検査、保護継電器試験、温度測定....ectなど
電気設備に関する情報発信も行い、私自身も点検
で現場に入っております。

今後もいろいろな設備を点検すべく
情報発信をしていきます。

点検に関するお問い合わせお待ち
しております。

試験内容の確認などにZOOMや
現地へのお伺いも可能です。
お気軽にご相談下さい。

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