使用前自己確認の負荷試験について解説!



太陽光発電設備を設置した場合条件によっては
使用前自己確認が必須となりますので
ご自身の発電設備が該当するのか
一度確認してみてください。

この記事でわかる事

・負荷試験の内容について
・高調波測定の判断基準について

目次

1、負荷試験の内容について

まずは使用前自己確認検査の負荷試験がどういった内容なのか、監督部の別紙を一緒に見てみましょう。

 発電設備を可能な限り定格出力、定格電圧及び定格力率に保持して機器各部の温度上昇が飽和状態になるまで連続運転し、逆変換装置、変圧器等の異常な温度上昇、異常振動、異音等の有無及び高調波(電圧歪率または電流歪率)を測定機器(発電設備の構外に施設する監視制御装置等を含む。)、警報の有無及び所内巡視等の方法により確認する。
 連続運転中に巡視点検できない箇所については、連続運転終了後に実施する。
 ただし、電技解釈第20条に基づき温度上昇試験を実施したことを確認できたもの及びJEC-2470(2017)(JEC-2470(2018)にて追補)に基づく温度上昇試験を実施したことを確認できた逆変換装置については、現地での負荷試験は省略できるものとする。

関東東北産業保安監督部より引用

上記の文面を簡単に箇条書きにまとめました。

  1. 可能な限り定格出力で運転し、
    逆変換装置・変圧器等の温度上昇、
    異常振動、異音等の有無
  2. 高調波測定
  3. 電技解釈20条に基づく温度上昇試験の実施

大まかにこの3つがメインの試験に
なってきます。

2、逆変換装置、変圧器の温度上昇、振動、異音とは?

・異音とは
逆変換装置又は変圧器は完全な無音ではなく
ファンの音やトランスが励磁した時の音などが
あります。この時の通常発生しない音がここでの異音となります。

・異常振動とは
異音と同じく通常の使用状態においても
ファンが動いていたりなど
正常状態でも発生する振動があります。
通常発生しない振動の確認が必要です。

・温度上昇とは
各メーカーによって違いますが大まかに
参考例を記載します。

パワコン:ほとんどのメーカーが
使用温度最大60度に設定されています。
(この使用温度を超えるとPCSが自動で出力を
下げる機能があるものあり)

変圧器:モールド変圧器又は油入変圧器とでは
許容温度が変わってきます。

モールド変圧器の場合は耐熱クラスがA~Hまで
あり各アルファベットの値により許容温度が
変わります。

スクロールできます
耐熱クラス
A105
E120
B130
F155
H180
耐熱クラス(A種、E種、B種、F種、H種)



油入変圧器の場合はメーカー参考ですが
周囲温度MAX40度としたとき
40度+最高温度上昇60K=100度まで
許容できます。

※補足 表のクラスで油入変圧器はA種になる
ため105度と許容値を決めることもできます。

ここで注意ポイントがあります。

温度上昇に関してはメーカーによって違うのでその都度確認が必要になります。また周囲温度が最大40度で設計されているメーカーさんがほとんどです。

時期や場所によって許容温度を超えてくる可能性が高いので、その場合は
メーカーに確認が必須となります。
換気扇をつける等対策が必要に、、、、

3、高調波測定とは

高調波測定に関しては電源品質アナライザが
必要になります。

また判定基準も専門的な知識が必要になり、
私自身の根拠として高調波ガイドラインを
使用していました。

その中に判定基準が設けられていますので
これに適合しているのかを確認します。
実際のガイドラインも参考になるかと思います
ので抜粋したものを記載します。

電力系統における高調波発生許容レベルであり、総合電圧ひずみ率が
6.6kV配電系統で5%、特別高圧系統で3%

高調波抑制対策技術指針(JEAG 9702-2013)
より引用

上記の判定値として良となっていても、
実際の現場では太陽光発電設備以外の
負荷設備が高調波を出していることもあります。

自家消費でよくある現象なのでこの場合は
太陽光発電を測定する前に
既設の高調波がどのくらいあるか参考で出しておくのがよいでしょう。

4、電技解釈20条に基づく温度上昇試験とは

まずは電技20条について

【電気機械器具の熱的強度】
(省令第8条)
第20条 電路に施設する変圧器、遮断器、開閉器、電力用コンデンサ又は
計器用変成器その他の電気機械器具は、民間規格評価機関として日本電気技術規格委員会
が承認した規格である
「電気機械器具の熱的強度の確認方法」の「適用」の欄に規定する方法により熱的強度を確認したとき、
通常の使用状態で発生する熱に耐えるものであること。

電技解釈より

上記の条文により「電気機械器具の熱的強度の確認方法」においてさらに規定があります。

この規定に適合する方法で熱的強度を確認する
必要があり各機器ごとに適用規格が記載されていますのでその規格をクリアした製品であるのか
確認を行う必要があります。

・電気機械器具の熱的強度の確認方法(JESC E7002)とは?

以下の表1に各機器ごとに熱的強度の規格を
いくつか記載しました。
上記規格の変圧器、遮断器、開閉器、QB
のみ抜粋して記載しておきます。

スクロールできます
種類機器規格
変圧器変圧器JEC-2200
遮断器交流遮断器JEC-2300
開閉器高圧交流遮断器JIS C 4603
開閉器高圧限流ヒューズJIS C 4604
その他QBJIS C 4620
表1

この規格に準じているか確認は必要
ですが国内メーカーはほとんど
クリアしていますので心配ないかと
思います。

最近は中国など海外のトランスが増え
てきているのでそういった場合は
確認が必要になってくるかと
思います。

まとめ

負荷試験に関して解説させていただきました。
今後も新しい情報が入り次第アップデートして
いきますのでよろしくお願いいたします。

また長野電気管理事務所では監督部の
提出までサポートしています。
ご相談、お見積りお待ちしております。

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この記事を書いた人

太陽光業界に従事しており、
得意分野は太陽光関係の点検になります。

使用前自己確認、絶縁抵抗、接地抵抗、耐圧試験
外観検査、保護継電器試験、温度測定....ectなど
電気設備に関する情報発信も行い、私自身も点検
で現場に入っております。

今後もいろいろな設備を点検すべく
情報発信をしていきます。

点検に関するお問い合わせお待ち
しております。

試験内容の確認などにZOOMや
現地へのお伺いも可能です。
お気軽にご相談下さい。

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