過電流継電器試験について解説

この記事でわかること

・過電流継電器について
・試験に関して

■OCR(過電流継電器)とは


OverCurrent Relaysといい、整定値以上の電流が流れた時に連動している遮断器等を動作させることができます。一般的にVCBなどの遮断器と併用されており過電流や短絡電流の保護として用いられます。

◇過電流継電器の特性

1、限時特性
2、瞬時特性

◇限時特性とは?

整定電流を超える電流がかなり大きい場合は早い時間で動作し整定電流を超えるが電流が小さい場合はゆっくり動作します。少しわかりににくいのでオムロン製のK2OC-AVNを参考で記載します。

・条件整定:3A ・時間目盛:10・特性に関しては指定しない

管理値

・超反限時特性(EI) 300%:10s±5%、 700%:1.67s±7%
・強反限時特性(VI) 300%:6.75s±5%、700%:2.25s±7%
・反限時特性(NI) 300%:6.3s±5%、 700%:3.53s±7%
・定限時特性(DT) 300%:2s±5%、 700%:2s±7%
・形K2CA-DO特性 300%:10s±5%、 700%:1.52s±7%

ポイント

300%とは整定に対しての300%であり整定3Aに対して9Aが流れた場合の動作時間が〇.〇sになります。

◇瞬時特性とは?

短絡電流などの大きな電流が流れた場合に動作します。整定できる値も20,30,40,50Aなど限時特性と比べて大きい値を整定できます。又、時間も早く約50msでの動作が大半です。(周波数や遮断サイクルによって微妙に違います。)

■試験の手順


◇最小動作電流測定
整定値に対しての最小動作電流を測定します。仮に限時整定3Aの場合試験機からの電流を0から徐々に上げていき動作値を測定します。

◇三菱のMOC-A1V-Rで解説

STEP
表示選択切替スイッチを時限経過に変更する。

STEP
電流を流し数値表示用LEDの0が点滅するまで流す。

STEP
0が点滅したところが動作電流値でありこの型式では誤差±10%以内

±10%以内なので整定3Aだとすると2.7A~3.3A以内に収まっていれば良、これは瞬時の動作を見る際も同じです。ただ瞬時はゆっくり電流を流してしまうと内部抵抗が熱をもってしまうため素早い測定が求めらす。

◇時限測定
整定値に対して過電流を流し動作する時間を測定します。

検査条件

超反限時特性
(EI) 300%:10s±5%、 700%:1.67s±7%
・整定=3A,
・ダイヤル=10
・300%の電流が流れた際の時限を測定します。


◇試験手順

STEP
整定の300%=9Aを設定する。

試験器側によって設定します。※実際に電流を流して設定する方法もあります。

STEP
0→9Aまで一気に電流が流れ継電器がカウントダウンを開始します。

設定をトリップにしておくことで試験器が自動で停止します。

STEP
トリップまでの時間が10sの±5%以内ならOKです。

メーカーによって動作誤差の値が違うため注意が必要です。

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長野電気管理事務所

電気設備の点検を得意とし、竣工検査、使用前自己確認、太陽光O&M、保安管理業務など、SNSも随時更新中です。

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