使用前自己確認検査の詳細について解説(太陽光発電所)

この記事でわかること

・使用前自己確認の検査の内容について
・産業保安監督部へ提出する書類一覧

2024年9月時点 中部産業保安監督部仕様、現時点では他の地域は様式が若干違うため参考程度にお願いいたします。

使用前自己確認検査の項目


①外観検査


◇外観検査は以下の項目を確認。

①中性点直接接地式電路に接続する変圧器には、油流出防⽌設備が施設されていること。(電技第19条第10項)

②必要な箇所に所定の接地が⾏われていること。(電技解釈第17条〜第19条、第21条、第22条、第24条、第25条、第27条〜第29条、第37条)

③⾼圧⼜は特別⾼圧⽤の機械器具の充電部が、取扱者が容易に触れないように施設されていること。(電技解釈第21条、第22条)

④アークを発⽣する器具と可燃性物質との離隔が⼗分であること。(電技解釈第23条)

⑤⾼圧⼜は特別⾼圧電路中の過電流遮断器の開閉状態が容易に確認できること。(電技解釈第34条)

⑥⾼圧及び特別⾼圧の電路において電線及び電気機械器具を保護するため必要な箇所に過電流遮断器が施設されていること。(電技解釈第34条、第35条)

⑦⾼圧及び特別⾼圧の電路に地絡を⽣じた時に⾃動的に電路を遮断する装置が必要な箇所に施設されていること。(電技解釈第36条)

⑧太陽電池発電所の⾼圧及び特別⾼圧の電路において、架空電線の引込⼝及び引出⼝⼜はこれに近接する箇所に避雷器が施設されていること。(電技解釈第37条)

⑨太陽電池発電所の周囲に、柵、塀等が施設されており、出⼊⼝に施錠装置及び⽴⼊禁⽌表⽰が施設されていること。(電技解釈第38条)

⑩太陽電池発電所の周囲の柵、塀等の⾼さと柵、塀等から特別⾼圧の充電部までの距離との和が規定値以上であること。(電技解釈第38条)

⑪ガス絶縁機器等の圧⼒容器が規定どおり施設されていること。(電技解釈第40条)

⑫発電機、特別⾼圧⽤の変圧器、電⼒⽤コンデンサ⼜は分路リアクトル及び調相機に必要な保護装置が施設されていること。(電技解釈第42条、第43条)

⑬検査の対象となる電気⼯作物が図⾯等の記載事項どおりに施設されていること。

中部近畿産業保安監督部 使⽤前⾃⼰確認結果届出書の別紙より
試験ポイント

・図面による確認
・現地による確認

高圧の設備の場合、①、⑪、⑫は対象外になることが多いです。基本的に省略は出来ない。ただし、上記記載の設備がない場合は一部対象外になる場合があります。

※記載例(横にスクロール☞可能)

チェック内容  確認状況判定結果現地試験による確認の有無工場試験結果による確認の有無その他記録による確認の有無規格に沿って確認した場合の規格番号備考
規格に沿った確認をしていれば記載、なければ空白※備考参照
対象外

※備考

判定基準②③④⑩⑪は書類で確認した。など

②設計荷重の確認


◇設計荷重の確認は以下の項目を確認。

 ⾃重、⾵圧荷重、積雪荷重、地震荷重その他の当該⽀持物の設置環境下において想定される各種荷重が、⽇本産業規格JIS C 8955(2017)「太陽電池アレイ⽤⽀持物の設計⽤荷重算出⽅法」等に基づき設定されていること。具体的には、以下の項⽬を満たすこと。

①⾃重は、太陽電池モジュール、⽀持物及び⽀持物に取付けられている電気設備(逆変換装置、電線、接続箱、集電箱)等の重量が設定されていること。

②⾵圧荷重は、アレイ⾯と⽀持物のそれぞれの荷重が与えられていること。

③基準⾵速、地表⾯粗度区分は当該設備の設置場所に応じた値が設定されていること。

④⾵⼒係数は⾵洞実験結果から与えられた数値、またはJIS C 8955(2017)に⽰された設置形態に応じた数値が設定されていること。

⑤積雪荷重の地上垂直積雪量は、JIS C 8955(2017)の算定⽅法により求めた値が設定されていること。

⑥勾配係数はアレイ⾯の⾓度に応じた値が設定されており、アレイ⾯の積雪が確実に滑落しないと判断できる場合には勾配係数を1としていること。

⑦雪の単位荷重は、⼀般の地⽅で20N/cm/㎡以上、多雪区域で30N/cm/㎡以上が設定されていること。

⑧地震荷重の設計⽤⽔平震度は、JIS C 8955(2017)に⽰された設置形態(地上設置および建築物等設置)及び設置場所に応じた値が設定されていること。

⑨傾斜地、⽔上等に設置される設備の場合は、「発電⽤太陽電池設備に関する技術基準の解釈」に基づいて付加的に考慮すべき外⼒を適切に評価していること。

中部近畿産業保安監督部 使⽤前⾃⼰確認結果届出書の別紙より
試験ポイント

・図面による確認
JIS C 8955による設計に基づき設計されているのか確認。国内の架台メーカーはこの規格で設計している場合がほとんどです。

※積雪の設計を誤っていたりする場合もあるので確認しておく必要があります。各都道府県の積雪基準が記載されているHPを確認下さい。確認は省略することは出来ません。

※記載例(横にスクロール☞可能)

チェック内容  確認状況判定結果現地試験による確認の有無工場試験結果による確認の有無その他記録による確認の有無規格に沿って確認した場合の規格番号備考
JIS C 8995※備考参照
対象外

※備考

判定基準①については図面で確認、②については構造計算書で確認した。など

③⽀持物構造の確認


◇⽀持物構造確認は以下の項目を確認。

①⽀持物の架構(部材の組み⽅や形状、使⽤材料等)及び⼨法が図⾯等と⼀致していること。

②図⾯等に⽰された⽀持物(基礎を含む)の架構図をもとに正⾯、側⾯、背⾯の架構について不静定次数の計算を⾏い、いずれの架構も不静定次数の値が0以上の安定した構造(静定・不静定)であること。このとき、部材間の接合部の条件を適切に設定し、不静定次数の算出⽅法は、発電⽤太陽電池設備に関する技術基準を定める省令及びその解釈に関する逐条解説(令和3年12⽉20⽇)の解釈第3条の解説(⽀持物の架構)を参照すること。

中部近畿産業保安監督部 使⽤前⾃⼰確認結果届出書の別紙より
試験ポイント

・形状、寸法、使用材料が現地設備と 一致しているか確認。
・不静定次数が0以上か確認。

発電⽤太陽電池設備に関する技術基準を定める解釈第3条において簡易計算式があるが近年では複雑な構造が多いためメーカー等に確認をするのが望ましいです。確認は省略することは出来ません。

※記載例(横にスクロール☞可能)

チェック内容  確認状況判定結果現地試験による確認の有無工場試験結果による確認の有無その他記録による確認の有無規格に沿って確認した場合の規格番号備考
規格に沿った確認をしていれば記載、なければ空白※備考参照
対象外

※備考

判定基準①については図面で確認した。②については構造計算書で確認したなど

④部材強度の確認


◇部材強度の確認は以下の項目を確認。

①全ての部材の形状、断⾯性能および許容応⼒度が⽰されていること。

②部材の許容応⼒度は、ボルト孔による断⾯⽋損、有効断⾯積、座屈による低減などが考慮されていること。

③各種設計荷重に対する各部材の応⼒が⽰されていること。

④各部材の検定⽐(=応⼒/許容応⼒度)が1以下であること。

中部近畿産業保安監督部 使⽤前⾃⼰確認結果届出書の別紙より
試験ポイント

◇図面による確認
・部材に許容応力度が示されているのか確認。
・各部材の検定比(=応力度/許容応力 度)が1以下である事の確認。
・各部材の応力が示されていることの確認。

各メーカー等は問い合わせにより、どの部分の確認でよいか回答が出ます。確認の省略は出来ません。

※記載例(横にスクロール☞可能)

チェック内容  確認状況判定結果現地試験による確認の有無工場試験結果による確認の有無その他記録による確認の有無規格に沿って確認した場合の規格番号備考
規格に沿った確認をしていれば記載、なければ空白※備考参照
対象外

※備考

判定基準①②③④については構造計算書で確認した。など

⑤使⽤材料の確認


◇使⽤材料の確認は以下の項目を確認することになっています。

①⽇本産業規格(JIS)、国際規格(ISО)に規定された材料であること。

②腐⾷、腐朽および劣化しやすい材料については、その対策処理(めっき、塗装など)が施されていること。 

③①以外の規格に規定された材料を使⽤する場合には、その強度特性を明確にしたうえで設計条件に適合していること。

中部近畿産業保安監督部 使⽤前⾃⼰確認結果届出書の別紙より
試験ポイント

・どのような材料が使用されているのか確認。
・腐食しやすい材料の対策(図面等によってJIS規格等によって規定されている材料であるか確認します。)

記載がない場合、メーカーに直接、問い合わせする必要があります。規格を書く欄があるため規格が書かれ
ている図面をメーカーより出してもらう必要があります。確認の省略は出来ません。

※記載例(横にスクロール☞可能)

チェック内容  確認状況判定結果現地試験による確認の有無工場試験結果による確認の有無その他記録による確認の有無規格に沿って確認した場合の規格番号備考
使用材料の
規格を記載
※備考参照
対象外

※備考

判定基準②については図面で確認。判定基準①③については図面、構造計算書、品質検査証明書で確認した。など

⑥接合部構造の確認


◇接合部構造の確認は以下の項目を確認。

①全ての接合部についての仕様(形状や締結材の仕様等)が⽰されていること。

②接合部に作⽤する応⼒が⽰されていること。

③部材間の摩擦によって接合される接合部(単管クランプ、スロット接合等)については、部材間の摩擦⼒が適切に評価されていること。

④押さえ⾦具は、荷重作⽤時の部材の変形を考慮した⼗分な掛かりしろが確保されていること。

⑤接合強度のばらつきが想定される場合には、そのばらつきを考慮した強度の低減を⾏っていること。

⑥②に⽰された応⼒に対して接合部の外れ、ずれ、⼤きい変形の発⽣がなく、接合強度が上回っていること。

中部近畿産業保安監督部 使⽤前⾃⼰確認結果届出書の別紙より
試験ポイント

・架台の構造計算書によって押さえ金具、接合部等の強度計算がなされているのかの確認と十分な強度が設定されているのか確認。

単管で架台を組んでいる場合は強度があるか、エビデンスを出す必要があるため注意が必要です。確認の省略は出来ません。

※記載例(横にスクロール☞可能)

チェック内容  確認状況判定結果現地試験による確認の有無工場試験結果による確認の有無その他記録による確認の有無規格に沿って確認した場合の規格番号備考
規格に沿った確認をしていれば記載、なければ空白※備考参照
対象外

※備考

判定基準①については図面で確認。判定基②③④⑤⑥については、構造計算書で確認。判定基準③については接合部載荷で確認した。など

⑦基礎及びアンカー強度の確認


◇基礎及びアンカー強度の確認は以下の項目を確認。

①基礎に作⽤する押込⽅向、引抜⽅向、⽔平⽅向の応⼒に対して抵抗⼒があること。

②構造計算によって基礎の抵抗⼒が与えられている場合は、当該設備の地盤特性(⼟質、N値等)が適切に設定されていること。

③載荷試験によって基礎の抵抗⼒を確認している場合は、適切な試験⽅法で実施されていること。

④⽔⾯に施設される設備のアンカーにおいては、アンカーごとの荷重の偏りを考慮して安全性が確認されていること。

中部近畿産業保安監督部 使⽤前⾃⼰確認結果届出書の別紙より
試験ポイント

・杭の引き抜き、押し込み、水平方向の応力確認。
・地盤調査


野立ての場合、架台を施工する途中で杭の引き抜き試験等を行う。架台が出来上がっている状態では試験が困難である場合が多い。地質調査によって地盤特性を調べる。構造計算によってN値、土質が求められている場合は必須。

※記載例(横にスクロール☞可能)

チェック内容  確認状況判定結果現地試験による確認の有無工場試験結果による確認の有無その他記録による確認の有無規格に沿って確認した場合の規格番号備考
規格に沿った確認をしていれば記載、なければ空白※備考参照
対象外

※備考

判定基準①②については構造計算書で確認。判定基準②については地盤調査結果で確認。など

⑧アレイ⾯の最⾼の⾼さが9m を超える場合に必要な確認


◇アレイ⾯の最⾼の⾼さが9m を超える場合に必要な確認は以下の項目を確認。

①設備の基礎は建築基準法施⾏令(昭和25年政令第338号)第38条の要求を満たしていること。

②建築基準法施⾏令第65条に基づき、架台を構成する部材のうち圧縮⼒を負担する部材は、有効細⻑⽐(断⾯の最⼩⼆次率半径に対する座屈⻑さの⽐をいう)が⽀柱では200以下、それ以外の部材では250以下であること。

③建築基準法施⾏令第66条に基づき、架台の⽀柱の脚部は国⼟交通⼤⾂が定める基準(平成12年建設省告⽰第1456号)に従ったアンカーボルトによる緊結その他の構造⽅法により基礎に緊結されていること。ただし、滑節構造である場合においては、この限りでない。

④⽀持物の接合部に⽤いる⾼⼒ボルト、ボルト及びリベットは、建築基準法施⾏令第68条の要求を満たしていること。

⑤建築基準法施⾏令第69条に基づき、すべての⽅向の⽔平⼒に対して安全であるように、架台の架構には型鋼、棒鋼若しくは構造⽤ケーブルの斜材⼜は鉄筋コンクリート造の壁が釣合い良く配置されていること。

⑥建築基準法施⾏令第93条に基づき、地盤の許容応⼒度及び基礎ぐいの許容⽀持⼒は、国⼟交通⼤⾂(平成13年国⼟交通省告⽰第1113号)が定める⽅法によって、地盤調査を⾏い、その結果に基づいて定めていること。ただし、地盤の許容応⼒度については、同条に⽰された数値を⽤いることができる。

中部近畿産業保安監督部 使⽤前⾃⼰確認結果届出書の別紙より
試験ポイント

・図面又は現地にて、アレイの高さが9mを超えていないか確認。

野立ての太陽光発電所においてアレイ面が9mを超える場合は建築基準法に適合する必要あり、屋根置きの場合は設置面からの高さになるので設置面から9m以内であれば対象外とすることができます。

※記載例(横にスクロール☞可能)

チェック内容  確認状況判定結果現地試験による確認の有無工場試験結果による確認の有無その他記録による確認の有無規格に沿って確認した場合の規格番号備考
規格に沿った確認をしていれば記載、なければ空白※備考参照
対象外

※備考

【野立ての場合】設置面(地盤面)からのアレイ面の最高の高さは9m未満、【屋根置きの場合】設置面(屋根面)からのアレイ面の最高の高さは9m未満

⑨⼟砂の流出及び崩壊の防⽌に係る確認


◇⼟砂の流出及び崩壊の防⽌に係る確認は以下の項目を確認。

①設備の施設による⼟砂流出や地盤崩壊が⽣じていないこと。また、その兆候がみられないこと。

②排⽔⼯、法⾯保護⼯などの抑⽌・抑制⼯が図⾯等のとおりに施⼯されていること。

中部近畿産業保安監督部 使⽤前⾃⼰確認結果届出書の別紙より
試験ポイント

・現地にて法面保護や排水溝等の施工が図面通りか確認する。

施工後すぐに地盤の崩落が起きている場合は対策が必要。ただし架台ができてからでは遅いので施工開始前に確認しておいた方がよい。屋根置の場合は対象外。

※記載例(横にスクロール☞可能)

チェック内容  確認状況判定結果現地試験による確認の有無工場試験結果による確認の有無その他記録による確認の有無規格に沿って確認した場合の規格番号備考
規格に沿った確認をしていれば記載、なければ空白※備考参照
対象外

※備考

【野立ての場合】判定基準①については土砂災害警戒区域等の情報により確認。判定基準②については斜面崩壊防止対策検討書で認。【屋根置きの場合】土地に自立していないため、対象外など。

⑩接地抵抗測定


◇接地抵抗測定は以下の項目を確認。

接地抵抗値が電技解釈第17条⼜は第24条第1項第2号で規定された値以下であること。

中部近畿産業保安監督部 使⽤前⾃⼰確認結果届出書の別紙より
試験ポイント

・機器のアースがあるのか。

A種、B種、C種、D種が規定以下に接地抵抗値がなっているのか確認。使用前自己確認に限らずマストな試験となります。仮にアースが取れていない場合又は、漏電していた場合、危険なのですぐに改修が必要になります。電気設備には必須の試験となるため省略することは出来ません。

※記載例(横にスクロール☞可能)

チェック内容  確認状況判定結果現地試験による確認の有無工場試験結果による確認の有無その他記録による確認の有無規格に沿って確認した場合の規格番号備考
規格に沿った確認をしていれば記載、なければ空白※備考参照
対象外

※備考

【変更・増設の場合】既設接地極との導通試験をもって確認。【新設の合】機器ごとに接地抵抗値を測定し判断 基準の値以下である事を認。

⑪絶縁抵抗測定


◇絶縁抵抗測定は以下の項目を確認。

①低圧電路の電線相互間及び電路と⼤地との間の絶縁抵抗は、電路の使⽤電圧が300V以下で対地電圧が150V以下の電路では0.1MΩ以上、300V以下で対地電圧が150Vを超えるものは0.2MΩ以上、300Vを超える低圧電路では0.4MΩ以上であること。

②⾼圧の電路については、⼤地及び他の電路(多⼼ケーブルにあっては他の⼼線、変圧器にあっては他の巻線)と絶縁されていることが確認できること。

中部近畿産業保安監督部 使⽤前⾃⼰確認結果届出書の別紙より
試験ポイント

・電気設備のすべての絶縁測定を行う。

太陽光パネルと通常の負荷設備では測定モードが違うため注意が必要。絶縁でも感電してしまう恐れがあるので試験をする際は注意が必要です。検査は必須のため省略することは出来ません。

※記載例(横にスクロール☞可能)

チェック内容  確認状況判定結果現地試験による確認の有無工場試験結果による確認の有無その他記録による確認の有無規格に沿って確認した場合の規格番号備考
JIS C 1302※備考参照
対象外

※備考

太陽電池モジュール、PCS、集電盤の絶縁抵抗値を測定し判定基準値以上であることを確認。

⑫絶縁耐⼒試験


◇絶縁耐⼒試験は以下の項目を確認することになっています。

試験電圧を連続して10分間加えた後、絶縁抵抗測定を⾏い絶縁に異常のないこと。また、電技解釈第15条第4号、第16条第1項第2号、第16条第6項第3号⼜は第16条第6項第5号によって実施した場合には、常規対地電圧を連続して10分間加え、絶縁に異常がないこと。

中部近畿産業保安監督部 使⽤前⾃⼰確認結果届出書の別紙より
試験ポイント

・高圧の機器、ケーブル、PCS、太陽電池モジュールの耐圧試験を行う。太陽電池モジュールは低圧であれば工場試験成績書で絶縁耐力試験は省略できる。

高圧のAC耐圧と太陽電池モジュールの直流耐圧試験を行わないといけない。検査を行っている業者でないと試験は危険のため注意が必要。PCSも工場出荷試験成績書にて絶縁耐力試験を実施していることを確認できれば省略することができる。(現地では常規対地電圧試験を行う。)

工場の出荷試験成績書があれば省略できる試験もあるので業者に依頼する前に確認してください。工場出荷試験での確認に、置き替える事ができるものもあるが現地での確認もあり省略することは出来ません。

※記載例(横にスクロール☞可能)

チェック内容  確認状況判定結果現地試験による確認の有無工場試験結果による確認の有無その他記録による確認の有無規格に沿って確認した場合の規格番号備考
JIS C 8918
JEC-2470
※備考参照
対象外

※備考

逆変換装置については、電技解釈第16条第6項第5号に基づく絶縁耐力試験を実施したことを工場試験結果により確認した上で、常規対地電圧を印加する現地試験を実施した。太陽電池モジュールについて、電技解釈第16条第5項第2号に適合することを工場試験結果により確認。

⑬保護装置試験


◇保護装置試験は以下の項目を確認。

関連する遮断器、故障表⽰器、警報装置、遮断器の開閉表⽰等が正常に動作すること。

中部近畿産業保安監督部 使⽤前⾃⼰確認結果届出書の別紙より
試験ポイント

・電技解釈34条、36条、43条において手動又は実動作による試験を実施、関連する継電器も連動を実施する。

過電流遮断器においても国内メーカーなら基本的にJIS C 4604に該当してくるので電技はクリアできる。太陽光用の継電器(RPRやOVGR)も動作確認する。この保護継電器装置に関する確認は、太陽光発電所のみにならず通常の設備でも確認する必要があるため省略は出来ない。

※記載例(横にスクロール☞可能)

チェック内容  確認状況判定結果現地試験による確認の有無工場試験結果による確認の有無その他記録による確認の有無規格に沿って確認した場合の規格番号備考
規格に沿った確認をしていれば記載、なければ空白※備考参照
対象外

※備考

逆電力、地絡過電圧継電器、配線用遮断器をテストボタンにて動作することを確認。

⑭遮断器関係試験


◇遮断器関係試験は以下の項目を確認。

①設定どおりの動作が⾏われること。

②⾃動始動及び⾃動停⽌が設定圧⼒の範囲内で⾏われること。

③安全弁の吹出圧⼒が付属タンクの最⾼使⽤圧⼒以下であること。

中部近畿産業保安監督部 使⽤前⾃⼰確認結果届出書の別紙より
試験ポイント

・付属タンク(アキュームレータを含む。以下同じ。)の容量試験
・駆動⼒発⽣装置⾃動始動停⽌試験
・駆動⼒発⽣装置付属タンク安全弁動作試

特高設備など大規模な太陽光設備に備え付けれている可能性があり一般的に高圧受電設備で該当することは少ないです。検査する設備にないか確認は行って下さい。

※記載例(横にスクロール☞可能)

チェック内容  確認状況判定結果現地試験による確認の有無工場試験結果による確認の有無その他記録による確認の有無規格に沿って確認した場合の規格番号備考
規格に沿った確認をしていれば記載、なければ空白※備考参照
対象外

※備考

操作用駆動源(圧縮空気、圧油等)の付属タンクを用いた遮断器、開閉器いずれも使用なし。など

⑮総合インターロック試験


◇総合インターロック試験は以下の項目を確認。

プラントが⾃動的かつ安全に停⽌するとともに関連する警報、表⽰等が正常に動作すること。

中部近畿産業保安監督部 使⽤前⾃⼰確認結果届出書の別紙より
試験ポイント

・発電所全体のインターロックの確認。
・保護装置の動作確認。
・プラントが安全に停止することの確認。

保護装置の動作確認があるため、太陽光 用でのOVGRやRPRなどの動作を行い、 発電設備が安全に停止することの確認を行います。(主に強制動作させることが多いです)。その他、発電所ごとのインターロックが設計通りになっているかを確認する必要があります。(停電したときUVRが動作するなど)総合インターロックは省略不可。ただし、現地の主任技術者によってQB側のインターロックを確認している場合は一部省略することも可能です。

※記載例(横にスクロール☞可能)

チェック内容  確認状況判定結果現地試験による確認の有無工場試験結果による確認の有無その他記録による確認の有無規格に沿って確認した場合の規格番号備考
規格に沿った確認をしていれば記載、なければ空白※備考参照
対象外

※備考

地絡過電圧、逆電力継器、配線用遮断器をテストボタンにて動作させ発電が正常に停止し警報、表示が正常に動作することを確認。など。

⑯制御電源喪失試験


◇制御電源 喪失試験は以下の項目を確認。

プラントが⾃動的、かつ、安全に規定の状態に移⾏すること及び測定結果に異常が認められないこと並びに遮 断器、開閉器が正常に動作し、かつ警報、表⽰等が正常に出ること。

中部近畿産業保安監督部 使⽤前⾃⼰確認結果届出書の別紙より
試験ポイント

・発電所が安全に停止できることの確認。
・警報や表示が設計通りに動作することの確認。
・負荷遮断試験と併用して行うことができる。
・過渡変化するパラメーターの確認(ここでは負荷遮断試験で確認します。)

設計通りの表示、アラートが出ることを確認。パラメーターの確認は負荷遮断試験でも可能。

※記載例(横にスクロール☞可能)

チェック内容  確認状況判定結果現地試験による確認の有無工場試験結果による確認の有無その他記録による確認の有無規格に沿って確認した場合の規格番号備考
規格に沿った確認をしていれば記載、なければ空白※備考参照
対象外

※備考

配線用遮断器をトリップさせ発電が正常に停止すること及びPCSの警報、表示が正常であることを確認。など

⑰負荷遮断試験


◇負荷遮断試験は以下の項目を確認。

負荷遮断後、発電電圧等負荷遮断時に過渡変化するパラメーターの変動が制限値内にあり、かつ、プラントは 安全に規定の状態へ移⾏すること。

中部近畿産業保安監督部 使⽤前⾃⼰確認結果届出書の別紙より
試験ポイント

・負荷遮断試験 (1/4~4/4の出力で試験を行う。)
・発電所が安全に停止できることの確認。

順次1/4、2/4、3/4、4/4負荷運転で段階的に試験を⾏う。悪天候により実施、できない場合は、⼯場試験の結果から判断する。現状では明確な判断基準は設けられていません。ただしプラントが急に停止しても異常が
ないかは確認しておく必要があります。

最大の出力で行う必要があるが、天候や設備の状況によってできない可能性もある。その場合は、PCSの工場試験成績書の確認で省略は可能。どこまでの出力が省略できるかは確認が必要です。※1日だけ試したが出力が上がらない。など試行回数が少ない場合は承認が下りにくいです。数日、実施しても出来ないなど出力が上がりにくい理由を説明する必要があります。

※記載例(横にスクロール☞可能)

チェック内容  確認状況判定結果現地試験による確認の有無工場試験結果による確認の有無その他記録による確認の有無規格に沿って確認した場合の規格番号備考
規格に沿った確認をしていれば記載、なければ空白※備考参照
対象外

※備考

配線用遮断器を動作させ、発電出力の1/4から4/4まで電源品質アナライザを使用しパラメーターに異常がないことを確認した。など


⑱遠隔監視制御試験


◇遠隔監視制御試験は以下の項目を確認。

被制御発電所の関係機器が正常に動作すること、及び被制御発電所の状態変化が正しく発電制御所⼜は技術員 所在所に表⽰されること。

中部近畿産業保安監督部 使⽤前⾃⼰確認結果届出書の別紙より
試験ポイント

・発電制御所が設置されている場合は、電技解釈47条に基づいた確認が必要。

高圧の発電所ではあまり発電制御所を設置しているところは少ないです。該当しない場合は使用前自己確認の
別紙においてチェック欄を対象外にして下さい。

※記載例(横にスクロール☞可能)

チェック内容  確認状況判定結果現地試験による確認の有無工場試験結果による確認の有無その他記録による確認の有無規格に沿って確認した場合の規格番号備考
規格に沿った確認をしていれば記載、なければ空白※備考参照
対象外

※備考

常時監視の設備のための対象外など。

⑲負荷試験(出⼒試験)


◇負荷試験(出⼒試験)は以下の項目を確認。

発電設備の各装置の定格は図⾯等どおりであり、かつ、異常が認められないこと。

中部近畿産業保安監督部 使⽤前⾃⼰確認結果届出書の別紙より
試験ポイント

・異常な温度上昇、異常振動、異⾳等の有無
・⾼調波(電圧歪率
・警報の有無

パワコンや変圧器等の異常がないか測定する。放射温度計や電源品質アナライザの機器を使用し発電所内を巡回しながらQB、パワコン、パネル等の異常がないか確認を行う。

高調波の判断基準に関しては、高調波ガイドラインを参考にしている場合が多い。温度上昇試験に関してはパワコン、変圧器の工場試験成績書で現地試験は省略できる。基本的に、この試験に関しては省略することができない。現地での測定及び、工場試験成績書の書類を準備する必要がある。

※記載例(横にスクロール☞可能)

チェック内容  確認状況判定結果現地試験による確認の有無工場試験結果による確認の有無その他記録による確認の有無規格に沿って確認した場合の規格番号備考
JEC-2470※備考参照
対象外

※備考

現地試験に加え、逆変換装置についてはJEC-2470に基づく温度上昇試験が実施され、問題がないことを工場試験結果により確認。など

⑳関係法令の規定の遵守の確認


◇関係法令は以下の項目を確認。

発電所、発電設備の工事が次に掲げる許可(以下「関係許可」という。)を要する行為を伴う場合において、当該行為が当該許可を受けたところに従って行われたことを書類等により確認する。

① 砂防法(明治30年法律第29号)第4条(同法第三条において準用する場合を含む。)の規定による許可

② 森林法(昭和26年法律第249号)第10条の2第1項の許可

③ 地すべり等防止法(昭和33年法律第30号)第18条第1項又は同法第42条第1項の許可

④ 宅地造成及び特定盛土等規制法(昭和36年法律第191号)第12条第1項又は第30条第1項の許可

⑤ 急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律(昭和44年法律第57号)第7条第1項の許可

中部近畿産業保安監督部 使⽤前⾃⼰確認結果届出書の別紙より
試験ポイント

・許可が必要もしくは対象地域であるか確認。各都道府県HPなどで対象か確認が可能。

※記載例(横にスクロール☞可能)

チェック内容  確認状況判定結果現地試験による確認の有無工場試験結果による確認の有無その他記録による確認の有無規格に沿って確認した場合の規格番号備考
規格に沿った確認をしていれば記載、なければ空白
対象外

◇以下は産業保安監督部へ提出す資料になります。すべて産業保安監督HPよりダウンロードできます。各監督部によって様式が違うため太陽光が設置されている地域の監督部HPよりダウンロードをお願いします。

・使用前自己確認の提出書類

  1. 使用前自己確認結果届出書
  2. 使用前自己確認結果届出書別紙
  3. 添付資料一覧表
  4. 発電所の概要を明示した地形図
  5. 主要設備の配置の状況を明示した平面図及び断面図
  6. 発電方式に関する説明書
  7. 支持物の構造図及び強度計算書
  8. 当該区域内の急傾斜地の崩壊の防止措置に関する説明書

※項目7、8に関しては災害、危険区域に該当する場合のみ必須となります。

補足

管轄の地域のHPにより砂防指定地、地すべり防止区域、急傾斜地崩壊防止区域、土砂災害警戒区域は調べることができます。又、HPになくてもお問合せで回答してくれますでの確認して下さい。各監督部によって提出方法も異なります。郵送や保安ネットによる申請など管轄の監督部へお問い合わせが必要になります。

当事務所では使用前自己確認の報告書作成及び提出までサポートしております。お気軽にお問い合わせください。



長野電気管理事務所

電気設備の点検を得意とし、竣工検査、使用前自己確認、太陽光O&M、保安管理業務など、SNSも随時更新中です。

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