・負荷試験の内容について
・高調波測定の判断基準について
■負荷試験の内容について
◇使用前自己確認検査の負荷試験がどういった内容なのか、監督部の別紙を一緒に見てみましょう。
発電設備を可能な限り定格出力、定格電圧及び定格力率に保持して機器各部の温度上昇が飽和状態になるまで連続運転し、逆変換装置、変圧器等の異常な温度上昇、異常振動、異音等の有無及び高調波(電圧歪率または電流歪率)を測定機器(発電設備の構外に施設する監視制御装置等を含む。)、警報の有無及び所内巡視等の方法により確認する。連続運転中に巡視点検できない箇所については、連続運転終了後に実施する。ただし、電技解釈第20条に基づき温度上昇試験を実施したことを確認できたもの及びJEC-2470(2017)(JEC-2470(2018)にて追補)に基づく温度上昇試験を実施したことを確認できた逆変換装置については、現地での負荷試験は省略できるものとする。
関東東北産業保安監督部より引用
1、可能な限り定格出力で運転し、逆変換装置・変圧器等の温度上昇、異常振動、異音等の有無の確認
2、高調波測定
3、電技解釈20条に基づく温度上昇試験の実施
■逆変換装置、変圧器の温度上昇、振動、異音とは?
逆変換装置又は変圧器は完全な無音ではなくファンの音やトランスが励磁した時の音などがあります。この時の通常発生しない音がここでの異音となります。
異音と同じく通常の使用状態においてもファンが動いていたりなど正常状態でも発生する振動があります。通常発生しない振動の確認が必要です。
各メーカーによって違いますが大まかに参考例を記載します。
パワコン:ほとんどのメーカーが使用温度最大60度に設定されています。(この使用温度を超えるとPCSが自動で出力を下げる機能があるものあり)
変圧器:モールド変圧器又は油入変圧器とでは許容温度が変わってきます。モールド変圧器の場合は耐熱クラスがA~Hまであり各アルファベットの値により許容温度が変わります。
耐熱クラス | |
A | 105 |
E | 120 |
B | 130 |
F | 155 |
H | 180 |
※補足
油入変圧器の場合はメーカー参考ですが周囲温度MAX40度としたとき40度+最高温度上昇60K=100度まで許容できます。※表のクラスで油入変圧器はA種になるため105度と許容値を決めることもできます。
■高調波測定とは
◇高調波測定に関しては電源品質アナライザが必要になります。また判定基準も専門的な知識が必要になり、私自身の根拠として高調波ガイドラインを使用していました。その中に判定基準が設けられていますのでこれに適合しているのかを確認します。実際のガイドラインも参考になるかと思いますので抜粋したものを記載します。
電力系統における高調波発生許容レベルであり、総合電圧ひずみ率が6.6kV配電系統で5%、特別高圧系統で3%高調波抑制対策技術指針(JEAG 9702-2013)より引用
上記の判定値として良となっていても、実際の現場では太陽光発電設備以外の負荷設備が高調波を出していることもあります。自家消費でよくある現象なのでこの場合は太陽光発電を測定する前に既設の高調波がどのくらいあるか参考で出しておくのがよいでしょう。
■電技解釈20条に基づく温度上昇試験とは
◇まずは電技20条について
【電気機械器具の熱的強度】
電技解釈より
(省令第8条)
第20条 電路に施設する変圧器、遮断器、開閉器、電力用コンデンサ又は計器用変成器その他の電気機械器具は、民間規格評価機関として日本電気技術規格委員会が承認した規格である「電気機械器具の熱的強度の確認方法」の「適用」の欄に規定する方法により熱的強度を確認したとき、通常の使用状態で発生する熱に耐えるものであること。
上記の条文により「電気機械器具の熱的強度の確認方法」においてさらに規定があります。この規定に適合する方法で熱的強度を確認する必要があり各機器ごとに適用規格が記載されていますのでその規格をクリアした製品であるのか確認を行う必要があります。
◇電気機械器具の熱的強度の確認方法(JESC E7002)とは?
◇以下の表1に各機器ごとに熱的強度の規格をいくつか記載しました。上記規格の変圧器、遮断器、開閉器、QBのみ抜粋して記載しております。
種類 | 機器 | 規格 |
---|---|---|
変圧器 | 変圧器 | JEC-2200 |
遮断器 | 交流遮断器 | JEC-2300 |
開閉器 | 高圧交流遮断器 | JIS C 4603 |
開閉器 | 高圧限流ヒューズ | JIS C 4604 |
その他 | QB | JIS C 4620 |
この規格に準じているか確認は必要ですが国内メーカーはほとんどクリアしていますので心配ないかと思います。最近は中国など海外のトランスが増えてきているのでそういった場合は確認が必要になってくるかと思います。
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◇まとめ
負荷試験に関して解説させていただきました。今後も新しい情報が入り次第アップデートしていきますのでよろしくお願いいたします。また長野電気管理事務所では監督部の提出までサポートしています。お気軽にご相談ください。
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